電験三種は転職で有利って本当?有利になる理由と実際の仕事内容を紹介
「電験三種を取得すると転職に有利!」と聞くものの、本当に有利なのか気になりませんか?
安心してください。電験三種は転職に本当に役立つ資格です。
この記事では、次の疑問に答えます。
- 電験三種が転職に有利な理由
- 転職後の仕事内容
未経験者やシニアの転職事情にも触れますので、ぜひご覧ください。
目次
電験三種の資格が転職に有利な3つの理由
第三種電気主任技術者試験、通称「電験三種」は、事業用電気工作物の工事・維持・保守・運用に関する保安・監督を行う国家資格です。
一種〜三種に区分され、その難易度は三種であっても難関資格に入ります。
強電系資格(強電系資格:電気工事士、電気工事施工管理技士など)の最高峰といってよいでしょう。
資格のなかには、取得しても実際の転職では役に立たないものも多くありますが、電験三種は違います。
電験三種の資格が転職に有利に働く3つの理由を紹介します。
①電験三種は独占業務の資格
電気主任技術者の扱う「工業用電気工作物」の保守・点検といった仕事は、電験資格保有者の独占業務です。
電気事業法という法律により「専任された電気主任技術者」が監督しなければならないと義務付けられています(参考:経済産業省「電気事業法各条文の概要」)
「工業用電気工作物」は、受電や変電、送配電など電気を扱う設備を指します。ビルや工場などにある高圧受電設備(キュービクル)がイメージしやすいでしょう。
担当してくれる電気主任技術者がいなければ工場もビルも運営できないため、電験資格には盤石なニーズがあるといえます。
②仕事がなくなる可能性が低い
電気を使う設備は日本中どこにでもあります。
ビルや工場、変電所、最近では再生エネルギー関連の設備など幅広い業界で電気主任技術者が必要です。
特に電験三種が扱える電圧5万V未満の電気工作物には、コンビニや商業施設など多種多様な施設の設備が含まれます。
今後の日本で、電験三種の仕事がなくなる可能性は非常に低いでしょう。
③人材が不足している
電験三種は人材不足の資格です。
- 免状取得者の60%が50歳以上と高齢化している
- 再生エネルギー設備などの増加でニーズが高まっている
特に2030年以降は人材不足が深刻になると推測されています(経済産業省「電気保安体制を巡る現状と課題」より)。
電験三種の試験は年1回、難易度も高いため多くの合格者は出ません。
また実務経験を積んでの資格取得も可能ですが、その認定規定は厳しく、資格保有者を増加させるまでには至っていません。
よって若い資格保有者は引く手あまたといえます。
関連記事:電験三種を試験免除で取得する方法|認定取得のメリット・デメリット
「電験三種は役立たない」は誤解
転職で有利な資格といえる電験三種ですが、インターネットで意見を探すと「取得しても使えない」「役に立たない」というネガティブな声も見つかります。
そういった意見が出てくる背景には、次のような現状があります。
- 資格の難易度の割に、年収400万円前後と日本人平均並の給与しかもらえない
- 責任と危険が伴うため、割にあわないと感じることがある
- 実務経験がないと好条件の会社への転職は難しい
電験三種は、資格所得ですぐに高収入につながる資格ではありません。
その一方で「たとえ未経験でも正社員で転職可能」「シニアになっても働ける」という抜群の安定性を誇ります。
資格取得の目的は人それぞれですが、電験三種は「手に職をつけて安定した働き方をしたい」人にこそ向く資格といえるでしょう。
関連記事:「電験三種は意味ない」は誤解!資格のメリットと年収アップのコツを紹介
電験三種の仕事とは
電気主任技術者と聞いても、業界にいなければ馴染みはありませんよね。
ここでは第三種電気主任技術者の年収や仕事内容について解説します。
年収は約400〜500万円
業界にもよりますが、電験三種保有者の年収のボリュームゾーンは400万円〜500万円といわれます。
【A社】 | オフィスビルの電気設備の保守点検業務 |
【資格・経験】 | 電気主任技術者(第3種以上) |
【勤務時間】 | 正社員(日勤) |
【年収例】 | 450万円 |
【B社】 | 作業所設置の自家用電気工作物の電気保安業務 |
【資格・経験】 | ・高卒以上かつ普通自動車運転免許 ・電気主任技術者(第3種)または第一種電気工事士 |
【勤務時間】 | 正社員(日勤) |
【年収例】 | 450万円〜600万円 |
上記は実際に求人サイトに記載されている求人例です。
もちろん経験年数や企業規模によって金額は前後し、キャリアを積めば年収は上がっていきます。
特筆すべきは電気主任技術者の求人に「学歴不問」や「高卒以上」のものが目立つことでしょう。
大卒資格がなくても安定した雇用環境のなかで500万円以上を狙えるのは、さすが電験といえます。
電気工事士とは別物
同じ電気系の資格に「電気工事士」がありますが、電気主任技術者と電気工事士の仕事内容は異なります。
電気主任技術者が保安・監督の仕事なら、電気工事士は実務よりの仕事といえるでしょう
- 第一種電気工事士:第二種の範囲と最大電力500kW未満の工場、ビルなどの工事に従事できる。
- 第二種電気工事士:一般住宅や店舗などの600V以下で受電する設備の工事に従事できる。
(参考:電気技術者試験センターのHPより)
身近な例では、エアコンを取り付けるときにコンセントを100Vから200Vへ切り替えるような作業が電気工事士(第二種)の仕事にあたります。
電気工事士は電気を扱う専門の技術者資格のため、電気工事の施工会社への就職に有利です。
電気主任技術者の仕事内容ややりがい
電気主任技術者の仕事内容は、簡単にいうと電気設備の保守・点検です。具体的には、下記のような作業内容になります。
- 担当する電気設備の定期点検
- 日誌作成
- 保安規定の作成
- 竣工検査
- 電気工事の計画・施工管理 など
出勤したら現場へ向かい、電圧・電流の測定など各種点検作業。事務所に戻ってからは事務作業といった働き方ですね。
電気事故を未然に防ぐには、電気主任技術者の存在は必要不可欠。多くの人の生活を支える、やりがいのある仕事といえるでしょう。
就職できる業界は幅広い
電験三種が必要とされる代表的な業界は次の4つです。
- ビルメンテナンス業界
- 電気保安業界
- 再生可能エネルギー業界
- 建設・プラント業界
施設や設備の規模によっては二種以上が必要になりますが、三種でも対応できるものが多くあります。
大まかに4つ上げましたが、求人を出している企業を見ると有名メーカーやインフラ系企業など顔ぶれは様々です。
なお電気保安業界は、中小企業などの資格保有者のいない企業から電気設備の保守・点検の委託を請け負っている業界です。◯◯電気保安協会などの名称の会社がこの業界にあたります。
実務経験重視のため未経験から入るのは困難ですが、一定の経験を積んだ人の転職先として人気があります。
電験三種の転職でよくある質問
ここでは「実務経験とは?」「完全未経験でも転職できるの?」など、電験三種の転職に際してよくある質問に答えます。
Q.「実務経験ってなに?どうやって積むの?」
電験三種における実務経験とは「電圧500V以上の電気工作物に関する業務」を指します。
- 5年以上の実務経験で独立可能
- 電気保安業界へ転職しやすくなる
- 未資格者でも認定での取得を狙える
実務経験があると上記のようなメリットがあるほか、転職でも有利になります。
では試験に合格したばかりの人は、きちんと実務経験が積める職場をどうやって探せばよいのでしょうか。
- 専任の電気主任技術者として高圧電気設備の点検・保安業務ができるところ
- 電気主任技術者の補佐として実務が行えるところ など
上記で、かつ実務未経験でも採用してくれる会社が転職先の候補になります。
詳しい業務内容を求人の掲載情報だけで見極めるのは限界があるため、転職エージェントの利用をおすすめします。
Q.「未経験でも転職できる?」
「電気関係の仕事は未経験」という人であっても電験三種があれば転職できます。
【C社】 | 商業施設での電気設備の電気工事・電気設備管理業務 |
【資格・経験】 |
|
【勤務時間】 | 正社員(日勤) |
【年収例】 | 400万円 |
【D社】 | 商業ビルの設備管理 |
【資格・経験】 |
|
【勤務時間】 | 正社員(日勤) |
【年収例】 | 月給25万円+賞与2回 |
試しに求人情報サイトで探してみましょう。未経験歓迎の求人が多く見つかります。
経験者希望で求人を出しても人が集まらず、未経験の資格保有者を採用することもあるくらいですので、心配する必要はないでしょう。
気になるのは年齢ですが、20代なら完全未経験でも容易に転職可能、30代でも若手扱いされるといわれています。
40代では関連業界での経験や管理職経験などが求められるものの、資格保有者が不足している企業なら年齢不問で採用するところもあります。
50代以降になるとさすがに実務経験の有無がポイントになり、選べる仕事の幅は狭まります。とはいえ、やはり有資格者を求めて採用されるケースはあるようです。
Q.「仕事はきついの?」
設備の保守点検業務は負担の少ない仕事です。
ただし現場に移動しての作業が多いので、デスクワークが好きな人には向きません。
また会社によっては夜間や休日対応が必要なケースもあります。この辺は会社によりけりな部分が大きいため、きついかどうかは判断が分かれるところでしょう。
Q.「シニアでも転職できる?」
シニア歓迎もたくさん見つかります。
特にビルメンテナンス業界は年齢不問で求人を出している企業が多く見つかります。
定年退職後の再就職先として人気のビルメンも、電験三種があれば有利になるでしょう。
まとめ:電験三種を持っていると転職でメリットが多い
電験三種は、未経験であっても正社員で平均給与並の仕事に就ける資格です。
- 転職に有利
- 資格手当がつく
- 長く安定して働ける
取得するメリットが多いため、興味のある人はぜひ挑戦してみてください。
とはいえ電験三種の難易度は高く、試験の合格率は9%未満。
1年近くかけて計画的に勉強を進める必要があります。
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