今回は、保護継電器の保護協調についてお話しします。

前回の変圧器の保護設備ですこしお話ししましたが、保護範囲が重なっている保護継電器に動作時間に差をもうけることを保護協調と言います。

たとえば、電力会社の配電用変電所の送り出しにある継電器と需要家の受電保護を行う継電器には動作時間に差があります。

電力会社側の継電器の保護範囲は、需要家の高圧母線まで含まれています。つまり、状況によっては需要家内部の事故で電力会社の継電器が動作し、配電線そのものを停電させてしまうことになります。これを波及事故といい、自家用電気設備はこの波及事故を発生させないようにしなくてはなりません。

波及事故を防止する対策の一つとして、保護協調は非常に重要な事項です。通常、配電線を保護する継電器は事故を検出したときに瞬時に動作するわけではなく、若干のタイムラグを持たせています。これを限時動作といいます。逆に、需要家側の継電器の場合、高圧母線で事故が発生した際は瞬時に動作するように設定されていることがほとんどです。これを瞬時動作と言います。よって、需要家内部で事故が発生したとき、需要家の継電器が動作し系統から切り離すことにより、配電線が停電する前に事故点を電源から切り離すことができます。需要家の継電器が故障した場合は、設定された時限をもって配電線の保護継電器が動作し配電線を停電、事故を除去します。

ちなみに、一般的な過電流継電器の場合、事故電流と動作時間が反比例、つまり大きな電流が流れるほど速く動作するような特性をもっているものが多くあります。これを反限時特性といい、保護協調を考えるときはこの特性を考慮し設計します。

電験三種の問題では、この保護協調に関して文章や図で出題されることがあります。また実務において非常に重要な事項となりますのでしっかりと理解するようにしましょう。

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