電験三種の難易度|合格率、合格者数、科目別合格率の推移
電験三種(第三種電気主任技術者)は、電気工事関係の資格のなかでも難易度が高いことで知られています。
この記事では、電験三種の合格率や合格者数の推移をもとに、試験の難易度や近年の傾向について紹介します。合格率が低い理由や独学が可能かも解説しますので、これから電験三種を目指す方はぜひ参考にしてください。
また、電験三種の概要や試験の詳細については以下の記事をご覧ください。
目次
電験三種の難易度|合格率、合格者数、科目別合格率
電験三種の「合格率」「合格者数」「科目別合格率」から、試験の難易度を確認してみましょう。
なお電験三種の試験には以下の特徴があります。これを踏まえた上で数字を見てください。
- 令和4年より試験は年2回になった
- 受験資格はなく、誰でも受験可能
- 試験は4科目あり、全科目の合格が必要
- 4科目とも原則60点以上で合格(合格基準が調整される場合もある)
電験三種の受験者数、合格者数、合格率の推移
平成28年(2016年)〜令和5年(2023年)までの受験者数、合格者数、合格率の推移は以下のグラフの通りです。
年度 | 受験申込者 (人) |
受験者 (人) |
合格者 (人) |
合格率 (%) |
平成28年 | 66,896 | 46,552 | 3,980 | 8.55 |
平成29年 | 64,974 | 45,720 | 3,698 | 8.09 |
平成30年 | 61,941 | 42,976 | 3,918 | 9.12 |
令和元年度 | 59,234 | 41,543 | 3,879 | 9.34 |
令和2年度 | 55,406 | 39,010 | 3,836 | 9.83 |
令和3年度 | 53,685 | 37,765 | 4,357 | 11.54 |
令和4年度上 | 45,695 | 33,786 | 2,793 | 8.27 |
令和4年度下 | 40,234 | 28,785 | 4,514 | 15.68 |
令和5年度上 | 36,978 | 28,168 | 4,683 | 16.63 |
令和5年度下 | 33,832 | 24,567 | 5,211 | 21.21 |
平成28年〜令和4年度上期試験までは10%前後の合格率で推移。令和4年度下期以降は合格率が上昇し、15〜20%前後となっています。
合格率の上昇により、受験者数が減り続けているものの、合格者数は増加に転じているのが見て取れます。
(参考:一般財団法人 電気技術者試験センター)
科目別の合格率推移
科目別の合格者数(4科目合格者を除く)を見ると、以下のように推移しています。
【理論】 | 受験者(人) |
合格者(人) | 合格率(%) |
令和元年度 | 33,939 | 4,640 | 13.7 |
令和2年度 | 31,936 | 6,142 | 19.2 |
令和3年度 | 29,263 | 1962 | 6.7 |
令和4年度上 | 28,427 | 4,857 | 17.1 |
令和4年度下 | 20,712 | 3,663 | 17.7 |
令和5年度上 | 20,994 | 3,894 | 18.5 |
令和5年度下 | 17,307 | 3,762 | 21.7 |
【電力】 | 受験者(人) |
合格者(人) | 合格率(%) |
令和元年度 | 30,920 | 4,230 | 13.7 |
令和2年度 | 29,424 | 3,601 | 12.2 |
令和3年度 | 29,295 | 7,260 | 24.8 |
令和4年度上 | 23,215 | 4,652 | 20 |
令和4年度下 | 16,984 | 2,769 | 16.3 |
令和5年度上 | 18,411 | 3,274 | 17.8 |
令和5年度下 | 15,894 | 3,657 | 23 |
【機械】 | 受験者(人) |
合格者(人) | 合格率(%) |
令和元年度 | 29,975 | 7,989 | 20.1 |
令和2年度 | 26,636 | 1,773 | 6.7 |
令和3年度 | 27,923 | 3,840 | 13.8 |
令和4年度上 | 24,184 | 2,727 | 6.9 |
令和4年度下 | 20,433 | 3,036 | 14.9 |
令和5年度上 | 19,024 | 2,639 | 13.9 |
令和5年度下 | 16,741 | 2,371 | 14.2 |
【法規】 | 受験者(人) |
合格者(人) | 合格率(%) |
令和元年度 | 33,079 | 3,187 | 9.6 |
令和2年度 | 30,828 | 3,871 | 12.6 |
令和3年度 | 28,045 | 3,959 | 14.1 |
令和4年度上 | 23,752 | 2,226 | 9.4 |
令和4年度下 | 19,346 | 1,284 | 6.6 |
令和5年度上 | 20,489 | 2,673 | 13 |
令和5年度下 | 17,153 | 2,352 | 13.7 |
電験三種の試験は明確に簡単と言える科目はなく、どの科目も同レベルの難易度です。ただ直近2回の試験では、それまでによくあった「1科目だけ極端に合格率が低くなる」傾向は見られていません。
(参考:一般財団法人 電気技術者試験センター)
近年は合格率が上昇傾向にある
合格率の推移を見てわかる通り、近年の電験三種の試験は合格率が上昇傾向にあります。
この理由として、令和4年度より順次行われた試験制度の改正が関係していると考えられます。
- 試験回数が年1回から年2回へ変更になった
- CBT方式での受験が可能になった
試験問題の作成頻度が増えたことで、以前よりも過去問からの出題が増加していると言われています。つまり、過去問を解きながら解答パターンを覚える勉強方法が効きやすくなっているのです。
もともと過去問演習は重要な勉強法でしたが、近年はより重要度が増していると言えるでしょう。
とはいえ、この傾向が今後も続くと考えるのは危険です。試験センターが合格率の上昇を問題視すれば、試験内容が急に難化する可能性もあります。油断せずに勉強していきましょう。
電験三種の合格率が低い理由
合格率が上がっているといっても、電験三種に合格するのは10人に1〜2人です。電験三種の合格率が低い理由の一つに「受験資格がない」ことが挙げられます。単純に誰でも受けられるがために、落ちる人も多いのです。
国家資格のなかには、司法試験や医師免許のように受験資格を得るだけで何年もかかるものもあります。受験資格があって、さらに合格率が低い試験と比べれば、電験三種はまだ合格が狙いやすい試験と言えるでしょう。
とはいえ、電験三種の合格に必要な勉強時間は平均で1000時間、工業高校の電気科卒くらいの知識レベルが必要です。受験資格はないものの、1〜2年の長期的な勉強が求められます。
勉強時間については以下の記事をご覧ください。
関連記事:電験三種の勉強時間は1000時間?独学で頑張る方へ勉強方法も解説
難関資格だが文系出身者でも合格は狙える
前述したとおり電験三種に受験資格はないため、これまで電気とは無関係の仕事をしてきた方でも受験可能です。
ただし、試験内容は「義務教育+αの数学の知識」と「電気の知識」があるのが前提になります。これまでずっと文系でやってきた方にはやや険しい道になるでしょう。
- 中学レベルの計算で解ける問題をしっかり取れるようにする
- 高校数学は必要な部分だけを効率的に勉強する
戦略的に勉強することで、文系出身の方でも合格の可能性は十分にあります。日本エネルギー管理センターでは、電験三種に必要な数学だけを効率よく学べる講座を開講していますので、ぜひ電験三種講習会案内から詳細をご確認ください。
また「どれくらいのレベルの計算問題が出題されるの?」と気になる方は、こちらの動画も参考にしてください。
科目別合格制度をうまく活用しよう
電験三種には科目別合格制度があります。
科目別合格制度とは、理論・電力・機械・法規の4つの科目それぞれで合否が決定し、4つすべてを合格することで電験三種に合格する仕組みです。1回の試験につき狙う科目を絞って勉強できるため、勉強時間が限られている社会人にはとくに活用メリットがあります。
ただし、合格した科目の試験が免除されるのは連続5回までです。
- 令和4年度上期に合格した科目→令和6年度下期まで有効
- 令和4年度下期に合格した科目→令和7年度上期まで有効
免除期間が過ぎた科目は再度受験して合格する必要があります。
科目別合格制度については、以下の記事のなかで詳しく解説しています。
関連記事:令和6年度(2024年)電験三種の試験日程|申込方法やCBT方式についても
独学で合格できる人は限られる?その理由を解説
電験三種の試験勉強は独学も不可能ではありません。しかし、独学だけで合格できる方は限られるでしょう。というのも、電験三種の試験には以下の特徴があるためです。
- 出題範囲が広く、網羅的な勉強が必要
- 計算問題にコツが要る
出題範囲が広く、網羅的な勉強が必要
電験三種の出題範囲は広大です。
- 電気に関する基礎である『理論』
- 発電や発電所からの電気の受け渡しに関する『電力』
- 誘導機や電動機など電気機械器具に関する『機械』
- 電気が関わるすべての規則に関する『法規』
これらすべてで合格点に達しなければならず、電気系や機械系出身の方でもあっさり不合格になることは珍しくありません。
また幅広い勉強が必要ということは、それだけ継続的かつ計画的な勉強が必要になります。仕事をしながら挑戦する方が多い資格ですが、挫折せずに独学を継続できる方は限られるでしょう。
計算問題にコツが要る
電験三種は、計算問題を解かなくては合格基準点に達しない試験です。第二種電気工事士試験のように、計算問題をすべて捨てても合格できる試験ではありません。
計算問題といっても70%は中学数学までの知識で解けますが、量が多いため解き方のコツを知っているかどうかが重要になります。さらに計算問題の残り30%は高校数学が必要です。
計算問題に苦手意識が強い方は、プロのオンライン講座や講習会を利用したほうが結果的に近道かも知れません。
効率的に勉強したい方は日本エネルギー管理センターまで
電験三種を効率的に勉強したい方は、ぜひ日本エネルギー管理センターをご利用ください。
資格試験に関して「独学で取得可能なのか」が話題になりがちですが、電験三種の独学合格は簡単ではありません。
試験範囲が広大で計算問題にもコツが必要な試験のため、プロに教えてもらうのが効率的です。
日本エネルギー管理センターでは、初級クラス・中級クラス・地獄の特訓と3つのコース分けにより、あなたの実力にあった学習が可能です。
- 初級クラス:初めて電気を勉強する方から、もう一度基礎から勉強したい方まで
- 中級クラス:初級コースを受講された方、電験三種再チャレンジの方、簡単なA問題は自力で解ける方
- 地獄の特訓:初級・中級コースを受講された方、あと10点あれば合格できるという方
講義のサンプル動画をYouTubeで公開しています。実際の初級クラスの講義ノーカット版なので、試験問題のレベル感を確認したい方や電験三種をこれから勉強しようという方は、ぜひご覧ください。
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