電験三種の勉強時間は1000時間?独学で頑張る方へ勉強方法も解説
電験三種(第三種電気主任技術者)の合格に必要な勉強時間は1000時間が目安と言われています。
ただ、これはあくまで平均的な勉強時間です。実際は500時間ほどで合格する方もいれば、トータルで2000時間かけても合格できない方もいます。
この記事では、電験三種の合格に必要な勉強時間の目安や、勉強をスタートする前に知っておくべき電験三種試験の特徴について紹介します。
独学で頑張りたい方向けの勉強方法についても解説しますので、ぜひご一読ください。
目次
電験三種の合格に必要な勉強時間は1000時間が目安
一般的に、電験三種の勉強時間の目安は1000時間と言われています。
これを1日の勉強時間に直すと「1000時間÷365日≒2.7時間」。だいたい「平日2時間/休日4時間半」を1年続けるくらいの勉強量となります。
ただし、これはあくまで受験者の属性を考えない場合の平均的な勉強時間です。
電験三種は受験資格がなく、誰でも受験可能な試験です。
さまざまなバックグラウンドの方が受験するため、実際に合格者の勉強時間は500時間〜2000時間とかなり幅があります。
理系出身者や電気の知識がある人は500時間が目安
理系出身者、とくに電気工学の基礎知識がある方や電気関係の仕事をされている方の勉強時間は500時間ほどが目安です。
「基礎知識ってどれくらいのレベル?」と不安な方は、電験三種の過去問の『理論』をご覧ください。比誘電率、磁気回路、インダクタンスなど問題に使われている単語に見覚えがあれば「基礎知識がある」と言えます。
理系出身なだけで電気関係は畑違いな方も、中学・高校数学の知識があれば完全初学者の方よりは有利な状態で勉強をスタートできます。
おそらく1000時間未満で合格レベルまで進めるでしょう。
文系出身者や初学者は1000時間前後
文系出身の方、とくに中学から数学が苦手だった方は、1000時間からそれ以上の勉強が必要になるでしょう。
電験三種の勉強は、中学・高校レベルの数学や理科(電気)の知識があるのが前提となります。
よって「sinやcosとは?」「オームの法則とは?」と聞かれて悩んでしまう方は、数学や電気の基礎勉強の時間が追加で必要です。
とはいえ、中学・高校の全範囲の勉強が必要というわけではありません。
電験三種の勉強をしながら「この計算はどうやるんだろう。解説書を見てもわからない」となったときに、その部分だけ復習が必要になると考えてください。
なお日本エネルギー管理センターでは、電験三種に必要な数学だけを効率よく学べる講座を開講しています。詳しくは電験三種講習会案内をご覧ください。
電験三種試験の特徴を把握しよう
電験三種の試験には次のような特徴があります。勉強をはじめる前にざっくり押さえておきましょう。
- 試験科目は4科目
- 試験は年2回
- 科目別合格制度がある
- 受験はCBT方式と筆記方式が選択できる
- 試験難易度は高い
以下で詳しく解説します。
試験科目は4科目
電験三種の試験科目は4科目です。五肢択一のマークシート方式で出題されます。
資格取得には全科目の合格が必要であり、合格基準点はすべて100点満点中60点以上です(合格基準点の調整あり)。
科目 (試験時間) |
出題範囲 | 配点 |
理論 (90分) |
電気理論、電子理論、電気計測、電子計測 | A問題14問✕各5点 B問題4問(各小問2問)✕各小問5点※B問題のうち問17、18選択問題 |
電力 (90分) |
発電所、蓄電所、変電所の設計・運転、送電線路・配電線路(屋内配線を含む)の設計と運用並びに電気材料 | A問題14問✕各5点 B問題3問(各小問2問)✕各小問5点 |
機械 (90分) |
電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送・処理 | A問題14問✕各5点 B問題4問(各小問2問)✕各小問5点※B問題のうち問17、18選択問題 |
法規 (65分) |
電気法規(保安に関するものに限る)と電気施設管理 | A問題10問✕各6点 B問題3問(各小問2問) ※問11,12(a)6点(b)7点 ※問13 (a)(b)各7点 |
参考:(一財)電気技術者試験センター「令和6年度第三種電気主任技術者試験に係る問題作成方針」
試験は年2回
電験三種の試験は年2回実施されます。以前は年1回でしたが、法改正により令和4年度より試験回数が増えました。
各年度の試験日程および試験申込期間は(一財)電気技術者試験センターのホームページで発表されます。
また令和6年度の試験日程は下記をご覧ください。
関連記事:令和6年度(2024年)電験三種の試験日程|申込方法やCBT方式についても
科目別合格制度がある
電験三種の試験には科目別合格制度があります。
科目別合格制度とは、理論・電力・機械・法規の4科目それぞれで合格が連続5回までセーブされる仕組みです。
よって1回の試験で4科目すべてに合格できなくとも、翌年、翌々年までに残りの科目に合格できれば電験三種に合格できます。
なお3年目までに合格できないと1年目に合格できた科目がリセットされて、再度合格する必要が出てきます。
科目別合格制度は、社会人など毎日の勉強時間を取れない方にとくに活用メリットのある制度です。戦略的に利用しましょう。
受験はCBT方式と筆記方式が選択できる
電験三種の試験では、CBT方式と筆記方式が選択できます。
- CBT方式:選択した会場にてパソコンとマウスを使って受験する
- 筆記方式:指定の試験会場にて紙と鉛筆で受験する
筆記方式では1日で全4科目を受験しますが、CBT方式では科目別に受験日時を選択できます。
各方式のメリット・デメリットについては以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:令和6年度(2024年)電験三種の試験日程|申込方法やCBT方式についても
電験三種の難易度は高い
電験三種の合格率は10〜15%ほどであり、電気系資格のなかでは難易度が高めと言えます。
そもそも電験三種とは、電気設備の保守や監督をするための資格です。これらの業務は電気主任技術者の資格がないと就くことができません。つまり、電験三種は業務独占資格にあたるのです。
ただ電気設備で事故が発生すれば重大災害につながりますし、社会にも大きな影響を及ぼしてしまいます。そのような背景から、電験三種は4科目とも難易度が高く設定されています。
電験三種の合格率については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
電験三種独学の勉強スケジュール感
電験三種を独学するスケジュール感について解説します。
前述した通り、電験三種の勉強時間の目安は1000時間と言われています。
電験三種は「これは簡単」と言える科目はなく、どの科目も高難易度です。
大まかに「1000時間÷4科目=1科目250時間」でスケジュールを立て、勉強するなかでご自身の実力にあわせて勉強時間を増減させると良いでしょう。
スケジュールを考える際にポイントとなるのが科目別合格制度です。
科目別合格制度を使用して3年以内に4科目合格を目指すのならば、一発合格を狙うよりもはるかに余裕を持って勉強できます。
たとえば「1回の受験につき1科目ずつ合格する」という計画なら、半年の勉強時間は250時間、毎日1時間半の勉強時間で済みます。
1時間半は、通勤の行き帰りの電車内で30分 + 朝と夜のどちらかに1時間でクリアできる勉強時間です。働きながら勉強する方にも実感の湧きやすい、現実的な時間ではないでしょうか。
電験三種の独学が難しい理由
電験三種に独学でチャレンジする方もいらっしゃいますが、他の資格試験と比べて独学合格は難しい試験です。というのも、電験三種の試験には次の特徴があるためです。
- 範囲が広く網羅的な勉強が必要
- 応用力が必要な計算問題が多い
- 長期戦のためモチベーション維持が難しい
以下で詳しく解説します。
範囲が広く網羅的な勉強が必要
電験三種の出題範囲はかなり幅広く、網羅的な勉強が必要になります。
- 電気に関する基礎である『理論』
- 発電や発電所からの電気の受け渡しに関する『電力』
- 誘導機や電動機など電気機械器具に関する『機械』
- 電気が関わるすべての規則に関する『法規』
これら4科目すべてで合格点を獲得して、晴れて「電験三種合格」となります。
試験範囲が広大ということは、それだけ出題範囲の全体像をつかむのが難しい試験ということです。勉強すべき優先順位の優劣や苦手な範囲は勉強を進めていくなかで把握するしかなく、勉強が行きあたりばったりになりがちです。
また、電気関係の仕事をしていない方には、そもそも普段の日常生活に関わりのない内容を勉強することになります。すべての出題範囲を独学で理解し、公式や法律を暗記していくのは、なかなか根気の必要な作業です。
応用力が必要な計算問題が多い
電験三種は計算問題が多く出題されます。
計算そのものは中学数学で解ける問題が大半ですが、公式にあてはめるだけで正解できる問題は少なく、応用力が求められます。
つまり、基礎問題から応用問題へと理解を深める地道な勉強が必要なのです。
また計算パートにおいても、計算時間を短縮するテクニックなどがあります。もともと計算問題が得意だった方や試験慣れしている方でないと苦戦するかもしれません。
さらに中学数学で解けない範囲を捨てきれないのも、電験三種の難しいポイントです。
たとえば度数表示とラジアン表示。これらの項目を理解していないと交流の位相に関する問題をマスターできません。
ざっくりテキストを眺めてみてハードルが高く感じた方は、数学の基礎からきちんと教えてもらえる講座などで勉強したほうが近道です。
長期戦のためモチベーション維持が難しい
電験三種は一夜漬けや数か月の短期集中で合格できる試験ではありません。理系出身者でも2回以上受ける方が多くいます。
つまり1年単位での計画的な勉強が必要なのです。
しかし、社会人が長期で勉強へのモチベーションを維持することは簡単ではありません。
もしあなたが「目標を立ててもスケジュールにまで落とし込めず、達成したことがない」「スケジュールは立てられても、なかなか実行できない」というタイプであれば、独学はかなり厳しい戦いになるでしょう。
電験三種のプロが考えたカリキュラムに沿って勉強するほうが、うまくいく可能性が高められます。
電験三種独学の勉強方法
電験三種を独学で頑張りたい方へ、勉強方法のコツについて紹介します。
上記の通り電験三種の独学はなかなか大変ですが、ぜひ参考にしてください。
理論→電力・機械→法規の順番に勉強
電験三種の勉強は理論→電力・機械→法規の順番に行いましょう。
理論はすべての科目の基礎となる内容のため、最初に学習しておくと他の科目の学習効率があがります。
機械と電力はどちらが先でも良いですが、勉強計画の見通しを良くするなら、過去問を眺めて苦手なほうから先に取り組むことをおすすめします。
また法規は、法律に関する知識問題が多く出題されます。法規の計算問題は電力と関連する部分があるため、電力のあとか、電力と一緒に勉強すると効率的です。
下に日本エネルギー管理センターの電験三種の「初級講座」を紹介します。独学の際の参考にしてください。
【理論】
【電力】
【機械】
【法規】
公式を覚えるのが最重要
電験三種では、公式を覚えるのが最重要となります。
公式は、いうなれば問題を解くための道具です。試験問題は「手慣れた道具を利用していかに短時間で問題を解決するか」を測るようなものなので、まずは道具を知り、使い方を覚えることが大切なのです。
とはいえ電験三種に出てくる公式の数は多く、一朝一夕には覚えられません。公式を覚えるコツは、公式同士を関連付けて覚えることです。
公式と公式の関係性を意識すれば記憶に残りやすくなりますし、万が一公式を忘れても、他の公式を使って導出できる可能性があります。
過去問は最低5年分は解く
過去問を最低でも5年分は解けるようにしておきましょう。
電験三種は、連続して同じような問題が出ることは多くありません。ただ、近年はCBT方式の開始が影響してか、過去問に近い問題が出やすくなっていると言われます。
加えて電験三種は問題数に対して時間が非常にタイトなため、あまりじっくり考える暇がありません。
そのため「一度解いたことがある問題」を以前解いた要領でひたすら解き、合格点が取れる状態で試験に臨む必要があります。
試験前の最後2ヶ月は、ひたすら過去問演習をする時期としましょう。
1度受験してダメなら講座受講もおすすめ
電験三種の合格には、一般的に1000時間の勉強が必要とされます。
ただ、これは電気の基礎知識がない方も含めた平均的な勉強時間であり、理系出身者や電気関係の仕事をされている方は、500時間の独学でも合格できるケースはあります。
しかし1000時間以上頑張って勉強したのに期待した結果が得られなかった場合は、勉強方法があまり効率的ではないのかも知れません。
電験三種の勉強時間は、あなたの日常生活を削って作られるものです。せっかく勉強時間を取るのであれば、オンライン講座や通信講座、オフラインの講座などを利用して、プロが考えた効率のよいカリキュラムで合格を目指すのも一案です。
日本エネルギー管理センターではレベル別に3つのクラスに分けられていて、今のあなたにあった知識をお教えします。
【初級クラス】
「今から勉強を始めるけど、そもそも今まで電気に関わってこなかった」という方から「一度勉強したけど、基礎からもう一度基礎から勉強したい」方向け
【中級クラス】
初級クラスを卒業した方、簡単なA問題を自力で解ける方を「時間をかければ自力で過去問にて合格ラインを取れる」レベルに持っていく
【地獄の特訓】
「あと十点あれば合格できる!」という方が確実に60点以上取れるようなラインに持っていく
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