令和6年度(2024年)電験三種の試験日程|申込方法やCBT方式についても
令和6年(2024年)の第三種電気主任技術者の試験日程が発表されました。近年の法改正により、電験三種試験は受験者に有利な方向へ変更されています。
- 令和4年より試験回数が年2回に
- 令和5年よりCBT方式での受験が可能に
この記事では、令和6年度第三種電気主任技術者の試験日程の紹介、試験の申込方法、申込時の注意点について紹介します。
「受験はCBT方式と筆記方式のどっちがおすすめか」についても、双方のメリット・デメリットをまとめたうえで当センターの見解を解説します。どちらで受験すべきかお悩みの方もぜひ参考にしてください。
目次
令和6年度(2024年)電験三種の試験日程
令和6年度の第三種電気主任技術者(電験三種)試験は2回実施されます。
【令和6年度上期試験の日程】 | |
受験申込受付 (インターネット申込) |
令和6年5月20日(月)10:00〜6月6日(木)17:00 ※筆記・CBT方式共通 |
CBT方式 | 令和6年7月4日(木)〜7月28日(日) |
筆記方式 | 令和6年8月18日(日) |
【令和6年度下期試験の日程】 | |
受験申込受付 (インターネット申込) |
令和6年11月11日(月)10:00〜11月28日(木)17:00 |
CBT方式 | 令和7年2月6日(木)〜3月2日(日) |
筆記方式 | 令和7年3月23日(日) |
(出典:(一財)電気技術者試験センター|令和6年度電気主任技術者試験の実施日程等のご案内)
受験申込期間は筆記・CBT方式ともに共通です。CBT方式での受験を希望する場合は、受験申込後、所定の期間内に試験会場・試験日時を選択します。
また受験票が発送されるのは筆記方式で受験する方だけです。CBT方式の方は、試験会場にて顔写真付きの身分証明書(マイナンバーカード、免許証など)で本人確認が実施されます。
電験三種の試験科目
試験科目は4つ、すべて五肢択一のマークシート方式で出題されます。
科目 | 内容 |
理論 | 電気理論、電子理論、電気計測、電子計測 |
電力 | 発電所・変電所の設計や運転、送電線路・配電線路(屋内配線を含む)の設計・運用、電気材料 |
機械 | 電気機器・パワーエレクトロニクス・電動機応用など、電力システムに関する情報伝送・処理 |
法規 | 電気法規(保安に関するもの)、電気施設管理 |
(参考:(一財)電気技術者試験センター )
電験三種の試験時間
各科目の試験時間は1科目90分(法規のみ65分)です。
- 筆記方式では4科目すべてを1日で受験
- CBT方式では科目毎に別日での受験が可能
科目 | 試験時間 (参考スケジュール) |
理論 | 90分 (9:15〜10:45) |
電力 | 90分 (11:25〜12:55) |
機械 | 90分 (14:15〜15:45) |
法規 | 65分 (16:25〜17:30) |
※参考スケジュールは令和5年度下期・筆記方式のものです
電験三種の合格点と合格発表日
電験三種の合格基準点は、各科目100点満点中60点(原則)です。すべての科目で合格基準点以上を取る必要があります。
ただし、平均点が著しく低い科目については合格基準点の調整が入ります。「機械科目55点以上」のように基準点が下がる場合があるため、60点未満でも合格する可能性はあります。
- 60点以上で確実に合格
- 60点未満でも基準点の調整があれば合格の可能性あり
方式 | 合格発表 |
筆記方式 | 試験から約2週間後にWeb発表 ※Web発表の約10日後に試験結果通知書発送 |
CBT方式 | 試験の2週間後にマイページで結果確認可能 ※得点は試験直後に確認可能 |
公式な受験案内がまだ公表されていないため、あくまで例年の傾向を記載しています。
また、いつも基準点の調整が入るわけではありません。試験勉強では60点以上を目指しましょう。
受験申込方法と受験手数料
電験三種(第三種電気主任技術者試験)の受験申込みは、インターネットまたは郵送でできます。
申込方法 | 受験手数料 | 支払い方法 |
インターネット | 7,700円(非課税) |
|
郵送 | 8,100円(非課税) | 払込取扱票にて支払い |
申込窓口は(一財)電気技術者試験センターです。インターネット申込はこちらからマイページを作成し、手続きします。
郵送申込の場合でも、CBT方式への変更などはインターネットを利用してマイページから申請する必要があります。結局はインターネットが必要になるため、特別な事情がない限りはインターネット申込を推奨します。
郵送申込は早めに受験案内を入手しよう
郵送で申し込む場合、受験案内(申込書付き)の請求が必要です。
受験案内の配布期間になったら、直接または郵送で案内を取り寄せましょう。詳しくは試験センターの案内をご確認ください。
インターネット申込みを促進するため、書店などで受験案内は入手できません。また、配布部数には限りがあります。
試験センターのHPで申込書はアップロードされませんので、早めに動くことをおすすめします。
科目別合格制度を利用するときの注意点
電験三種は科目別合格制度が利用できます。科目別合格制度とは、1度合格した科目について一定期間試験が免除になる制度です。
この制度を利用することで、仮に4科目中2科目不合格になったとしても、次回の試験で不合格になった2科目に合格すれば電験三種を取得できます。
ただし、科目別合格制度の利用は自動で適用されません。自分で免除申請を行う必要があり、もし免除申請をせずに受験した場合は最新の試験結果が優先されます。
また、免除申請の際は合格者番号が必要になるので、試験センターのHPで調べておきましょう。
CBT方式の利用は別途手続きが必要
試験をCBT方式で受験したい場合は、受験申込後にマイページから別途「CBT会場申込手続き」が必要です。
CBT方式の申込期間は約10日間と短いため、忘れず手続きするようにしてください。また「やはり筆記方式が良い」と考えを変えた場合も、期間を過ぎると筆記方式への変更はできませんのでご注意ください。
期間中にCBT方式の申し込みをしなかった場合は、自動で筆記方式での受験となります。
CBT方式と筆記のどっちがおすすめ?各方式のメリット・デメリット
電験三種では令和5年度(2023年)の試験よりCBT方式が導入され、全国各地の試験センターで受験できるようになりました。
従来の筆記方式と比べて「どっちで受験するのが良いだろう?」と迷われる方も多いでしょう。ここでは、各方式のメリットとデメリット、および日本エネルギー管理センターとしての見解を解説します。
電験三種のCBT方式の概要
CBT方式(Computer Based Testing)とは、指定の会場にてパソコンとマウスを使って受験する試験方式です。
電験三種のCBT方式の特徴は以下の通りです。
- 筆記試験の約1か月半前から、約25日間かけて実施される
- 受験生ごとに問題が異なる(出題方式はこれまでと同じ)
- 試験地は全国47都道府県、合計200カ所以上
- 試験会場と受験日時は3日前まで変更可能
- CBT方式の利用には受験申込完了後に手続きが必要
- 期間中であればCBT方式から筆記方式への変更も可能
- 期間中にCBT方式を申し込まなかった場合は筆記方式での受験になる
なおCBT方式申込後に受験しなかった場合は欠席扱いとなり、筆記試験も受験できません。
CBT方式のメリット・デメリット
【CBT方式のメリット・デメリット】 | |
メリット | ・科目別に試験日を設定できる ・試験日時・試験会場が柔軟に選択できる ・試験日は3日前まで変更できる ・受験日当日に得点がわかる |
デメリット | ・試験時期が筆記方式より早い ・使用できる筆記用具が黒ボールペンとメモ用紙のみ(電卓は持ち込み可) ・問題やメモ用紙は持ち帰れない ・同日に複数科目を連続受験する場合は、申込方法に注意が必要(※) |
CBT方式の最大のメリットは、科目毎に別日で受験できる点です。1日1科目に集中する状態を作れるため、4科目受験を予定している人はとくに恩恵が大きいでしょう。
また筆記方式よりも試験地や時間の自由度が高く、仕事のスケジュールが直前までわからない人や、受験会場が遠い人にもメリットがあります。
一方、デメリットは、試験時期が筆記試験より早まる点です。会場で使える筆記用具が制限される点も、人によってはやりにくさを感じるかもしれません。
(※)連続受験での注意点は「結論:CBT方式のほうがメリットは多い!ただし、注意点も」で解説します。
筆記方式のメリット・デメリット
【筆記方式のメリット・デメリット】 | |
メリット | ・試験日がCBT方式の期間より遅い ・問題用紙を持ち帰れる |
デメリット | ・会場や試験日を自分の都合で選択できない ・全科目を1日で受験しなくてはならない ・自己採点するまで各科目の合否がわからない |
筆記方式のメリットをあげるなら、試験日がCBT方式のあとに設定されている点です。勉強期間が少し長くなります。
しかし、筆記方式では4科目すべての試験が同日に行われるため、全科目を受験する人は丸一日拘束されてしまいます。試験日時に制約がある点は、筆記方式の大きなデメリットと言えるでしょう。
結論:CBT方式のほうがメリットは多い!ただし、注意点も
当センターとしては、CBT方式で受験するほうがメリットが多いと考えます。
- 科目毎に別日で受験できる
- 受験日時と試験会場を自由に選択できる
とくに上記2点が、CBT方式をおすすめする大きな理由です。
ただし、CBT方式には注意点があります。
CBT方式の注意点
- 試験当日は本人確認で顔写真付き身分証明書が必要になる
- 万が一遅刻してしまっても筆記方式への切り替えはできない
- 試験問題を第三者へ漏洩するのは厳禁(試験内容に関するSNS投稿も注意)
CBT方式では顔写真付きの身分証明書は必須となります。保険証などでは代用できないため、免許証やマイナンバーカード、パスポートといった顔写真付きの身分証明書を所有していない方は、実質的にCBT方式は利用できません。
また、複数科目を同日に連続して受験する場合は以下の点にも注意してください。
CBT方式で連続受験する場合の注意点
- 科目と科目の休憩時間が7分間しか設定されない
- 休憩時間中にメモ用紙を交換する必要がある(交換を忘れると不正行為と見なされる)
- 最初の科目で30分以上遅刻してしまうと、次の科目以降も受験できない
- 科目の順番が「理論→電力→機械→法規」で固定されてしまう
同日で複数科目を受験したい場合でも、連続受験で申し込むメリットはほぼありません。やや面倒ですが、個別に申し込むことをおすすめします。
独学可能?電験三種の難易度と必要な勉強時間
電験三種の合格率は毎年8〜10%ほどでしたが、直近2回の試験では15%前後で推移しています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 |
合格率(%) |
令和5年度 上期 |
28,168 | 4,683 | 16.6 |
令和4年度 下期 |
28,785 | 4,514 | 15.7 |
令和4年度 上期 |
33,786 | 2,793 | 8.3 |
(参考:(一財)電気技術者試験センター)
合格率が上がっているとは言っても試験範囲に変更はなく、中学〜高校数学レベルの計算問題も多く出題されます。電気系資格のなかでは難関資格と言えるでしょう。
合格に必要な勉強時間は1,000〜1,200時間。1,000時間という時間を1年で取ろうと考えると、毎日3時間弱の勉強が必要です。当センターにも1年で1発合格される方はいらっしゃいますが、珍しいと言えます。
とくに完全独学で勉強するとなると「理系出身者」かつ「勉強の計画立てが得意な人」でないと難しいのが現実です。
電験三種の独学についてはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:電験三種の勉強時間は1000時間?独学で頑張る方へ勉強方法も解説
過去の合格率推移および難易度が高いとされる理由については、こちらで詳しく解説しています。
関連記事:電験三種の難易度|合格率、合格者数、科目別合格率の推移
科目別合格制度をうまく利用しよう!
電験三種は一発合格が難しい試験です。とくに日中忙しくて勉強時間が十分に取れない人は、戦略的に科目別合格制度を活用しましょう。
電験三種の科目別合格制度とは?
科目別合格制度とは、科目ごとに合否判定が行われ、合格した科目については一定期間その合格がキープされる制度です。
電験三種では合格した科目が翌々年まで(最大5回連続で)試験が免除になるため、最初から2年計画で合格を目指すなどの戦略が立てられます。
ただし、科目別で合格していても、免除申請せずに次回を受験して不合格になってしまったら、その科目は以降も不合格扱いになります。
1科目ずつ合格を狙う作戦もあり
令和3年度(2021年度)まで電験三種の試験回数は年に1回でしたが、令和4年度(2022年度)から年2回に増えました。
「翌々年までに4科目すべて合格すれば良い」とする科目別合格制度のルールが残ったため、試験回数が増えた分だけチャンスが増えた形です。
従来は難しかった「1科目ずつ合格を狙う戦略」も可能になりました。
<例> |
4回分の受験料が必要ですが、勉強時間に制約のある方には“あり”な戦法ではないでしょうか。
チャンスは増えても気は抜けない
受験者有利な方向への法改正が続いた背景には、電気主任技術者の不足があげられます。試験方法に柔軟性を持たせることで、合格する実力のある人にしっかり資格を付与していこうというわけです。
とはいえ、電験三種は業務独占資格であり、仕事には危険が伴います。よって試験回数は増えても難易度は緩められていないので、気を抜かず勉強しましょう。
また科目別合格制度は、一度合格した科目を再度受験するとなった場合にモチベーション維持が難しくなります。
長期計画が良いのか、短期で合格を目指すほうが良いのか、ご自身の性格にあった制度の使い方をしてください。
効率よく合格を目指すなら日本エネルギー管理センターへ
令和6年度第三種電気主任技術者の試験日程が発表されました。
令和5年から新しくCBT方式が追加され、筆記方式とCBT方式のいずれかを選択できるようになります。
CBT方式を希望する場合は、期間内にオンラインで「CBT会場申込手続き」が必要になるため、忘れず手続きしてください。
第三種電気主任技術者試験は難易度が高く、独学で合格するには長期間にわたり学習をする必要があります。
「少しでも効率的に勉強したい」という方には、日本エネルギー管理センターの試験対策講習会をご検討ください。
初心者向けの講座から試験直前の上級者向け講座など、レベルに合わせたカリキュラムであなたの合格をサポートします。
詳しいカリキュラムや講習日程についてはこちらの第三種電気主任技術者講習会ページをご覧ください。