第二種電気工事士では、筆記・技能試験の両方で単線図から複線図を描くスキルが求められます。しかし「複線図が苦手」「いまいち理解できていない」という方も多くいらっしゃいます。

そこで本記事では、当センター流“単線図から複線図を簡単に描く方法”を紹介します。技能試験で複線図を描かないで済ます裏技も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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また複線図については動画でも2回にわけて詳しく解説しています。

単線図から複線図を描く簡単な方法

第二種電気工事士の筆記試験や技能試験では、配線図として単線図が提示されます。単線図では電源やスイッチ、器具などをどう接続するかが描かれていますが、電線1本1本の接続方法まではわかりません。

そこで、接続の数や電線の数を求める問題を解く際に単線図を複線図に直す必要があるのです。

当センターでは電線を色分けして描くことを前提に、以下の手順で単線図を複線図に直す方法をお伝えしています。

<単線図を複線図に直す手順>

  1. 単線図を元に電源や負荷などを配置する
  2. 色分けのルールに則って電線を描く
  3. 色が同じ線をつなげる

【準備】電線を色分けして描けるようにする

複線図を簡単に描くコツは、電線の役割別に色をわけて描くことです。よって、まずは3色ボールペン(黒、赤、青)を用意しましょう。当センターのおすすめは消えるボールペンです。※第二種電気工事士の試験では3色ボールペンの持ち込みが可能です。

そして、3色を以下のように使い分けます。

  • 非接地側(L):黒
  • 接地側(N):青
  • スイッチからの送り:赤(赤にはスイッチと負荷についている名前を併記)

たとえば電源はLとNの電線が1本ずつあるので、黒線と青線が伸びるといった形です。

1. 単線図を元に電源や負荷などを配置する

接続箇所を◯で囲み、単線図の通りに電源やスイッチ、負荷を配置していきます。

上図で言えば、電源は左側、コンセントは上側といったイメージですね(上図は線を描いてしまっていますが、まずは各要素だけ並べて描いてください)

2. 色分けのルールに則って電線を描く

電源やスイッチなどから接続箇所に伸びる線を、上記の色分けルールに則って書き足します。

上図で言えば、まず電源からは非接地(L)の黒線と接地(N)の青線を描きます。さらに、コンセントからもLとNが伸びますね。

スイッチからはLの黒線と送り線の赤(イと併記)、照明器具も赤線(イと併記)と電気を戻すためのN線を描きます。

3. 色が同じ線をつなげる

最後に、色が同じ線同士をつなげます。接続点はポチっと丸く目立つように描きましょう

つなげる順番は「青、黒、赤」の順がおすすめです。青線が一番多くなる傾向があるため、最初につないでしまったほうが全体がわかりやすくなります。

また、最後の赤線は「同じ文字同士の赤線」をつないでください。上図では赤線がイしかありませんが、本番の試験では赤線が複数出ますので、赤線には負荷の名称を併記する癖をつけてくださいね。

以上が単線図から複線図を描く基礎的な手法になります。より実践に近い演習については、こちらの動画「やさしく学ぶ複線図基礎②をご覧ください。

また三路スイッチと四路スイッチの複線図についてはこちらの動画で解説していますので、あわせてご覧ください。

技能試験で複線図を描かない裏技

技能試験でも、まずは候補問題(単線図)を複線図に直し、作業を開始します。

ただ技能試験の問題に三路スイッチと四路スイッチを含まない場合は、以下の手順で複線図を描かずに電線を接続することが可能です。

<複線図を描かない場合の作業手順>

  1. スイッチ以外の接地側の白線をつなぐ
  2. 負荷以外の黒線をつなぐ
  3. 残りの線をつなぐ

1. スイッチ以外の接地側の白線をつなぐ

(スイッチや各器具の組立が終わり、最後に電線を結線する段階でスタートします)

まずは安全上一番重要な接地側電線をつなぎます。

照明などの負荷には必ず接地側の電線が必要になりますし、電源をそのまま送るコンセントや他負荷にも当然必要です。わかりやすいため、まずは先につないでしまいます。

ただし、技能試験でのスイッチの白線は、接地の白線ではなくスイッチから負荷への送り線です。本来は白線を使いたくないところを、ケーブルの配色の関係でやむを得ず使用しているだけなので、スイッチの白線は除いて接続する必要があります。

2. 負荷以外の黒線をつなぐ

2番目に、負荷以外の黒線をつなぎます。つまり、電源側の黒線のことですね。

電源がいくのは、スイッチ、コンセント、他負荷です。照明器具などの負荷はスイッチから電源をもらうため、負荷の黒は除く必要があります。

3. 残りの線をつなぐ

1、2番目の手順を済ませていれば、残っているのはスイッチから負荷への送り線のみのはずです。どのスイッチと負荷をつなぐかをしっかり考えながら、送り線を配線しましょう。

裏技の例外!三路スイッチと四路スイッチがある場合は?

技能試験で複線図を描かずに接続する裏技を紹介しましたが、この方法は三路スイッチと四路スイッチでは使えません。手順2番目の「負荷以外の黒線をつなぐ」で回路が成立しなくなってしまうためです。

「では、三路スイッチと四路スイッチがあった場合は複線図を描かないといけないのか?」というと、そうではありません。

三路スイッチを結線するポイント

三路スイッチは1つのスイッチを2つに分けたものと考えることができ、2つのうち片方は電源とつながりますが、もう片方は負荷とつながります。つまり、電源側の三路スイッチには電源の黒を、負荷側の三路スイッチは負荷の黒線とつなげるということです。

これを念頭に置けば、複線図を描かずとも結線できます。

結線の順序としては、接地側の白線を接続後に、先に三路スイッチの黒線を接続してしまいます。その後、三路スイッチから三路スイッチ(もしくは四路スイッチ)間の渡り線も接続すれば、迷うことなく結線できるでしょう。

三路スイッチがある候補問題は令和6年度はNo.6が該当します。以下の解説動画で上記の裏技を使っていますので、具体的なやり方をご覧になりたい方はぜひご視聴ください。

四路スイッチを結線するポイント

四路スイッチは、三路スイッチと三路スイッチの間を中継するスイッチです。電源、負荷とは一切つながりません

よって、四路スイッチの1、3番に片側の三路スイッチからの送りを、2、4番にもう片方の三路スイッチからの送りを接続すれば終わりです。

四路スイッチがある候補問題は、令和6年度ではNo.7が該当します。解説動画を公開していますので、ぜひご視聴ください。

何度も練習して複線図に慣れよう

単線図からの複線図の描き起こしは、筆記試験と技能試験の両方で必要になります。一見複雑そうに見えますが、練習すれば必ず描けるようになります。本記事で例示したような簡単なものから、じっくり練習していきましょう。

また、本記事で紹介した技能試験で複線図をショートカットする裏技も、時間との戦いとなる技能試験では有効です。

第二種電気工事士の技能試験は合格率70%前後と数字こそ低くはありませんが、何も対策せずに臨むと高確率で不合格になるシビアな試験です。技能試験の練習でどうしても時間オーバーになってしまうという方は、ぜひ本記事で紹介した方法を試してみてください。

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