今回は、電験3種電力科目、H22年度問3の解説をいたします。

問3
 複数の発電機で構成されるコンバインドサイクル発電を、同一出力の単機汽力発電と比較した記述として、誤っているのは次のうちどれか。

(1)熱効率が高い
(2)起動停止時間が長い
(3)部分負荷に対応するため、運転する発電機数を変えるので、熱効率の低下が少ない
(4)最大出力が外気温度の影響を受けやすい
(5)蒸気タービンの出力分担が少ないので、その分復水器の冷却水量が少なく、温排水量も少なくなる

答 (2)

解説
コンバインドサイクル発電とは、ガスタービン発電機と蒸気タービン発電機を組み合わせた発電方式で近年の火力発電における主力となりつつある発電方式です。
ガスタービン発電で使用した排気の熱量を蒸気タービンで利用するため熱効率が高く、高いものでは60%近くに達しています。
単機の汽力発電では高いものでも40%後半であるため、いかに効率のよい発電方式であるかがわかります。
また、ガスタービン発電は起動が速く、蒸気タービンも単機のものに比べ小容量のものを組み合わせているので起動・停止が短時間で可能となります。
コンバインドサイクル発電所は、小容量の単位機(軸)を数台組み合わせて系列を構成しているため、出力の増減を運転台数の増減で調整可能となっていることから、部分負荷においても定格出力と同等の効率を得ることができます。
ガスタービン発電の特徴として、大気温度の影響をうけやすいというてんがあります。これは、ガスタービンの圧縮機の吸い込み空気容量は大気温度に関係なくほぼ一定となっているため、大気温度が上昇すると空気の密度が低くなり出力が低下してしまうためです。
コンバインドサイクル発電の出力分担は、蒸気タービンの分担がプラント全体の1/3、残りはガスタービンが担っています。そのため、単機の汽力発電所と比較すると温排水量は6割程度となります。

以上のことから、(2)の「起動停止時間が長い」が誤りとなります。
コンバインドサイクル発電は主流となっている発電システムの一つで出題される可能性が高いため、原理、熱効率計算を含めてしっかりと抑えるようにしましょう。

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