前回は、変圧器の保護設備の一つである過電流継電器についてお話ししました。

変圧器内部の短絡事故を検出する継電器には、過電流継電器のほかに比率作動継電器があります。

変圧器は、健全な状態では変圧器の巻き数比をnとすると一次電流I1と二次電流I2の間に以下の関係があります。

I2≒nI1 

しかし、変圧器の内部で異常が発生するとこのバランスが崩れます。これを検出するのが比率作動継電器です。

過電流継電器の場合、変圧器本体の事故だけではなく負荷側で発生した事故でも動作します。そのため、過電流継電器が動作した場合はどこで発生した事故なのか特定するのに時間を要することがあります。しかし、比率作動継電器は変圧器の事故でしか動作しないため事故点の特定に要する時間が大幅に短縮されます。変圧器が複数台ある場合は、当該変圧器のみ切り離して負荷は復旧するという対応もすぐに行うことができます。

ただし、前述したように比率作動継電器は変圧器の内部事故でのみ動作しますので、負荷側の事故を検出する過電流継電器も併せて設置する必要があります。この場合、過電流継電器の動作に時限を設けて比率作動継電器が優先的に動作するように設計します。(これを保護協調といいます)

電験三種の電力科目では、このような知識を問う問題が多く出題されます。保護継電器の種類についても重要な要素ですので、名称、役割をしっかりと覚えましょう。

次回も引き続き変圧器の保護設備についてお話しします。

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