今回は、電験3種の過去問解説として電力科目のH21年度問2の解説をします。

問2
 タービン発電機の水素冷却方式について、空気冷却方式と比較した場合の記述として、誤っているのは次のうちどれか。
(1)水素は空気と比べ比重が小さいため、風損を減少することができる。
(2)水素を封入し全閉形となるため、運転中の騒音が少なくなる。
(3)水素は空気より発電機に使われている絶縁物に対して化学反応を起こしにくいため、絶縁物の劣化が減少する。
(4)水素は空気に比べ比熱が小さいため、冷却効果が向上する。
(5)水素の漏れを防ぐため、密閉油装置を設けている。

答 (4)

 近年、タービン発電機の冷却方式として水素冷却方式が多く用いられています。
 水素は、空気に比べて比重が小さい、つまり密度が小さいので風損が大幅に減少します。毎分1500~3600回転という非常に速い速度で回転するタービン発電機にとって、風損の減少は大きな効果があります。(効率として0.5~1%の向上。大容量機の1%は非常に大きい)
 また、水素は不活性ガスで空気よりコロナ発生電圧が高いので絶縁物の劣化が少なく発電機の寿命が長くなる効果があります。
 さらに水素の優れた性質として、比熱、熱伝導率が大きいため冷却効果が優れています。
 副次的効果として、水素冷却方式の場合は全閉形とするため運転中の騒音も減少します。

 欠点としては、水素は空気が混入すると爆発の恐れがあるため軸受け、固定子枠などを気密構造とする必要があり、水素漏れを防ぐために密封油装置が必要となります。

 以上のことから、(4)の文中にある「水素は空気に比べて比熱が小さい」という点が誤りになります。この分の後半「冷却効果が向上する」という点は正しいため、焦っていると見逃してしまう恐れがあります。
 この問題のように、文章すべてが誤っているとは限らないため知識問題は問題の文章を慎重に読み取る必要があります。

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