電験三種理論科目とは?試験概要や難易度、勉強のコツを解説
電験三種の試験は4科目あり、理論科目はそのうちの1つです。理論の試験範囲には他の3科目(電力、機械、法規)の基礎理論的な要素が含まれているため、4科目のうちで最初に学習すべき科目と言えます。
本記事では、理論科目の概要や難易度、勉強のコツなどについて詳しく解説します。これから理論の勉強に取り組む方はぜひご一読ください。
目次
電験三種の理論科目とは?
電験三種の理論科目では、電気回路や電子回路、電流と磁界、電子・電気計測などに関する問題が出題されます。具体的な試験内容は別項で紹介しますが、試験内容は各分野の理論的な要素にもとづく計算問題がメインです。
試験で問われる知識が他科目(電気・機械・法規)の基礎になるため、はじめて電験三種の勉強を始める場合は理論科目から取り掛かるのが一般的です。
ここでは、理論科目に限って試験概要と試験範囲を紹介します。電験三種の他の試験科目や試験範囲についてはこちらの記事をご覧ください。
内部リンク:電験三種とは?仕事内容や試験概要、難易度を解説
理論の試験概要
電験三種の理論科目はマークシート方式で出題されます。
- 出題形式:五肢択一
- 試験時間:90分(電卓持ち込み可)
- 出題パターン:計算問題、正誤判定問題、穴埋め問題
- 出題数:A問題とB問題に分けて以下のように出題される
- A問題:1問ずつ解答していく通常の問題。14問×各5点
- B問題:大問1つにつき小問2つで構成されている問題。3大問×各10点(小問が各5点)
なおB問題は15〜18問まであり、17問と18問はどちらか1つを選択して解答します。
理論科目の合格基準点は100点満点中60点ですが、問題の難易度によっては60点以下に調整される場合もあります。
理論の試験範囲
理論の試験範囲は電気技術者試験センターの公式HPにて以下のように公表されています。
理論 |
電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測 |
具体的には以下の分野の知識が求められます。
- 直流・交流回路
- 三相交流回路
- 静電気
- 電磁気
- 電子工学
- 電気・電子計測
電験三種の理論は難しい?勉強時間の目安や合格率について
電験三種の理論は、基礎知識を応用して解く問題がほとんどです。基礎知識をそのまま問われるわけではないため、難易度が高い試験と言えるでしょう。
理論科目の合格に必要な勉強時間や合格率を解説します。
理論の合格に必要な勉強時間の目安
理論科目に合格するための勉強時間は、平均で250時間と言われます。ただし、実際の勉強時間は受験者の前提知識によって前後します。
高校や大学などで電気・電子工学についてを学んだ経験がある方ならば、勉強時間は150時間〜200時間ほどが目安です。
一方で「理系科目が苦手」「ずっと文系だった」など高校数学の知識から勉強する必要がある方は250時間以上かかるかもしれません。
電験三種の勉強時間については以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:電験三種の勉強時間は1000時間?独学で頑張る方へ勉強方法も解説
理論の科目別合格率
令和5年の理論科目の合格率は以下のとおりです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和5年(上期) | 20,994人 | 5,588人 | 26.6% |
令和5年(下期) | 17,307人 | 5,690人 | 32.9% |
※合格者数は4科目合格者を含む
理論は電験三種の基礎にあたる科目ですが、合格率は他の科目とほぼ同等です。「基礎=易しい」と油断しないようにしてください。
なお電験三種は近年やや易化の傾向にあり、4科目合格率も令和5年上期16.6%、令和5年下期21.2%となっています。
とはいえ、合格率10%前後だった時代と比較して“易化”と言えるのであって、他の電気系資格と比べれば十分に難しいと言えます。合格率の詳細は以下の記事をご覧ください。
関連記事:電験三種の難易度|合格率、合格者数、科目別合格率の推移
参考:(一財)電気技術者試験センター「令和5年度第三種電気主任技術者上期試験の結果について」
参考:(一財)電気技術者試験センター「令和5年度第三種電気主任技術者下期試験の結果について」
電験三種の理論の過去問について
電験三種の過去問はこちらの(一財)電気技術者試験センターのHP内で公開されています。執筆時点で2009年までの試験に遡って過去問と解答が閲覧可能です。
理論問題の内容をもう少し詳しくみてみましょう。
たとえば令和6年度上期の理論では、A問題で次のような問題が出題されました。
問2の答え:(4)/ 問3の答え:(2)
上記2問は正誤判定問題となります。基礎知識があれば解ける問題ながら、勘や当てずっぽうでは太刀打ちできない難易度です。
また、理論でもっとも多く出題されるのは以下のような計算問題です。
問5の答え:(1)
問5は、重ね合わせの原理や合成抵抗、分圧・分流の法則といった電気回路の原理・法則を組み合わせて解きます。
問題の難易度や出題傾向は近年大きく変わっていません。当センターのYouTubeチャンネルにて令和4年下期の過去問解説動画を公開していますので、理論科目の難易度や合格に必要な知識レベルを掴みたい方はぜひご覧ください。
電験三種理論科目の勉強のコツを解説
電験三種の理論科目を勉強するうえで、意識していただきたいポイントを3つ紹介します。効率よく勉強を進める参考にしてください。
- 落としてはならない問題をしっかり取る
- 参考書より問題集を中心に勉強する
- 過去問は少なくとも10年分を解く
落としてはならない問題をしっかり取る
理論科目の問題はすべてが同じ難易度ではありません。簡単に解けるサービス問題も少なからず混じっています。
資格試験に合格するための重要なコツの一つは、「落としてはいけない問題を落とさない(取るべき問題をきちんと取る)」ということです。たとえば、こちらの動画で解説しているような問題ですね。
簡単な直並列回路の問題ですが、焦っていると勘違いやミスで「難しい!解けない!」となってしまいがちです。簡単な問題ほど、一つずつ確実に解答していきましょう。
参考書より問題集を中心に勉強する
電験三種は科目ごとに参考書と問題集が出版されており、一般的に以下の流れで勉強することになるでしょう。
- 参考書で知識をつける
- 参考書の例題を解いて問題の解き方を覚える
- 問題集で幅広い問題に慣れる
ここで重要なのが、参考書を読む時間よりも問題集に取り組む時間を長く取ることです。
理論科目は計算問題が多く出題されます。試験時間は限られていますので、「このタイプの計算問題はこうやって解く」というテクニックをたくさん知っているほうが圧倒的に有利です。
参考書に時間をかけてもテクニックはなかなか習得できません。基礎を理解したら早めに問題集に着手するよう心がけてください。
過去問は少なくとも10年分を解く
電験三種の試験では過去問と似た問題が出題されることがよくあります。よって、過去問を使った勉強は必須です。
少なくとも10年分、できれば20年分の過去問を解くことをおすすめします。
以下の記事で紹介している電気書院の「電験3種過去問マスタ」という問題集は過去20年分の試験問題と解説が収録されています。当センターがイチオシしている問題集でもありますので、教材選びに迷われている方はぜひ書店で内容を確認してみてください。
関連記事:電験三種のおすすめ参考書&問題集を紹介!選び方のポイントも
電験三種の理論の勉強は講習の受講もおすすめ!
電験三種の理論科目について解説しました。
理論科目は電験三種の基礎にあたる科目のため、電験三種の勉強はまず理論から着手することをおすすめします。
また、理論科目は計算問題が多いため、勉強は問題演習が中心になるでしょう。問題集を購入しての勉強も良いですが、独学が不安な方は講習の受講もおすすめです。
日本エネルギー管理センターでは電験三種対策の講習会を開催しています。レベル別にクラスが分けられており、今のレベルにあった講習を選択していただけます。
【初級クラス】
「今から勉強を始めるけど、そもそも今まで電気に関わってこなかった」という方から「一度勉強したけど、もう一度基礎から勉強したい」方向け
【中級クラス】
初級クラスを卒業した方、簡単なA問題を自力で解ける方を「時間をかければ自力で過去問にて合格ラインを取れる」レベルに持っていく
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